祈(いのり/inori)の手控え

本の考察(もとい妄言)を気ままに書く手控えです。 村上春樹作品多めの予定。

【1Q84】考察:登場人物の名前には意味がある?(BOOK3/3)

ごきげんよう、祈(いのり/inori)です。

麺がすすれません。

あれが出来るかたは特殊な訓練を受けているのだと思います。

 

本記事では、村上春樹1Q84』に登場する天吾のガールフレンド(=安田恭子)が、実は教団側のスパイなのではないかという話を書いていきます。

今回でラスト(3回目)!たぶん一番面白い…はず!

 

【この記事で言いたいこと】

天吾のガールフレンド(=安田恭子)は、実は教団側のスパイなのではないか

 

【根拠】

  1. 牛河が天吾の内情を知りすぎているから ←前々回の内容。気になるかたは以下リンクから

     

    inori-book.hatenablog.com

     

  2. タマルが語る”菜食主義の猫とネズミの話”の真意が表れていると考えられるから ←前回の内容。気になるかたは以下リンクから

     

    inori-book.hatenablog.com

     

  3. 1Q84』の登場人物は名前に法則性があり、その法則に当てはめると牛河と安田恭子がリンクするから ←今回の内容

では参ります。

****

(以下、『1Q84』のページ数に関するすべての記載は、新潮文庫単行本に拠ります。)

◆名前の法則性

※大切なお知らせ:以下で記載する「あるルールに従って登場人物名を並び替えることができる」という部分は、筆者がどこかの講演会‥?で拝聴した内容となります(=筆者発の考えではありません)。本来であれば出典が不明なものを引用すべきではありませんが、方々手を尽くしても元の講演会をたどれなかったこと、およびこのまま埋もれさせてしまうにはあまりにも惜しい…と思ったことから、ここに引用させていただきます。出典をご存知のかたいらっしゃいましたら、ぜひご指摘ください。※

1Q84』の登場人物名は、以下ルールに従って並び替えることが可能と言われています。

ステップ1)登場人物名を、アルファベット表記にする。

例:青豆(あおまめ)→AOMAME

ステップ2)作者名”むらかみはるき(MURAKAMIHARUKI)”に、アルファベットの母音と子音が対応するようにあてはめる。

 

すると、↓ 以下のように配列するのが一番しっくりくるかな…と思います。

※ここから筆者の仮説となります。講演されたかたの配列意図とは異なる可能性があることをご了承ください。※

▲配列表

「MOONS」なんてあり?と思われるかもしれませんが、新潮文庫単行本の表紙には巻ごとに人名が記載されており、BOOK3後編のところに「MOONS」と記載があったため採用しています。

また同様に「ふかえり」も、BOOK2後編の表紙の記載に従い本名ではない表記にしていることを付け加えておきます。

そして本題。

下から3段目「は(HA)」の行について、牛河のペアとして一番収まりがいいのは安田ではないでしょうか。

前回、前々回の記事の内容も踏まえると、安田恭子が教団と(あるいは牛河個人と)協力関係にあった…というのは、一つの可能性として残しておいていい気がしております。

 

◆補足1:安田恭子スパイ説の弱点

ここまで3回に渡ってお読みいただいたかたには大変申し訳ないのですが、安田恭子スパイ説には、1つ大きな弱点が存在します。

それは”天吾と安田恭子の関係は、天吾が『空気さなぎ』をリライトする前から始まっている”という点です。

天吾と安田恭子の関係が初めて言及されるのは以下です。

(BOOK1前編 p.57 l.13-14)週に一度、人妻のガールフレンドが彼のアパートの部屋にやってきて、午後を一緒に過ごした。

この文章の直後で小松から『空気さなぎ』のリライトを打診されるため、天吾と安田恭子が接触した段階では、まだ天吾は教団にとって重要な人物ではなかった可能性が高いのです。

天吾が母親の姿を求めていることを察知した教団側が、母親の面影を投影できそうな人物をチョイスして天吾に接触させた…という筋書きは、少々無理があるのかもしれません。

ただし、上記への反駁として、天吾を監視していた教団側(あるいは牛河個人)が、天吾の家に無理なく出入りできる人物として安田恭子に目をつけ、後から買収したor脅して利用した、と考えることは可能かと思います。

安田恭子はお金に困っていなさそうなので買収はないかな…と個人的には考えますが、人間の欲望は際限がないものですしね。

それに、後者の”脅し”であれば、そもそも天吾との関係を旦那さんや周囲にバラされては困るでしょうし、子供がいる記述もあるため、子供に危害を加えることを示唆されては逆らえないのではないでしょうか。牛河さんがネチネチ交渉してくる様子が目に浮かびます…笑

 

◆補足2:天吾の名前に込められた意味

本筋とは一切関係ない、おまけのおまけです。

上記のように登場人物をアルファベット表記にしていたとき、天吾の名前を見て気がついたことを記載しておきます。

それは、天吾→TENGOは、固有名詞をもつ登場人物の中で唯一”むらかみはるき(MURAKAMIHARUKI)”となるパーツを持っていないということです。

あざみ(AZAMI)恩田(ONDA)深山(MIYAMA)など、かなりマイナーな?登場人物でもパーツを持っていることを踏まえると、これは意図的なものである可能性が出てきます。

また、TENGOはスペイン語で「わたしは持っている」という意味になりますスペイン語er動詞「tener」の一人称単数形。

何かを「持っている」はずの天吾が、実は何も持っていない…というのは、作者の皮肉なのでしょうか?

なお、天吾は登場人物の多くから「天吾くん」と呼ばれますが、TENGO QUEで「〜しなければならない」という意味になることも付け加えておきます。

(BOOK2前編 p.69 l.9-10)「何も持ち合わせてないよ」と天吾は言った。「魂のほかには」

「なんだかメフィストの出てくる話みたい」と彼女は言った。

 

以上、3回に渡って天吾のガールフレンド(=安田恭子)が、実は教団側のスパイなのではないかという話を書かせていただきました。

取り敢えず書きたかったことが書けてほっとしております。

そしてこのようにまとめていく中で、削ぎ落とした部分や新たな気づきもありました←トータル7,000文字くらい書いたのに…聖書から物語を捉え直す話とか、書いてみたいんですよね

いつか”BOOK4”が出るかもしれない…と、小説本編と併せて、この記事も気長にお待ちいただけたら幸いです。ありがとうございました!

(※ブログ自体はもう少し続けようと思います)

****

今日の蛇足)天吾くんのように何も持たない身軽さ、わたしは好きです。3日くらい山籠りをしてみたいですが、熊に襲われて…なんて嫌ですよね。あと多分薪とか割れない。

 

▼再掲:前々回の記事です。

inori-book.hatenablog.com

 

▼再掲:前回の記事です。

inori-book.hatenablog.com