ごきげんよう、祈(いのり/inori)です。
言い訳がましいことはあまり書きたくないのですが、中の人の肉体と魂の接続が弱くなりまして。
これを人間界では”体調を崩す”と言うそうですね。←キャラが定まっていない
ということで、申し訳ないですが今回はとても短い記事にさせていただきます。
扱う作品は村上春樹「かいつぶり」。『カンガルー日和』に収録されている短編です。
【この記事で言いたいこと】
「かいつぶり」における本来の合言葉は「貝合わせor貝覆い」ではないか
(以下、「かいつぶり」のページ数に関するすべての記載は、講談社『カンガルー日和』に拠ります。)
[目次]
◆前段
◆本来の合言葉は「貝合わせor貝覆い」?
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◆前段
村上春樹作品には時折、これはどう解釈したものか…という作品がありますよね(笑)?
個人的にはこの「かいつぶり」もそのひとつ。
12ページしかない短い作品ですが、それゆえにメッセージを読み取りにくかったり、解釈の幅があまりにも広かったり…と、難しい作品です。
気になるトピックとしては以下がありますので、手控えとして残しておきます。
・そもそも指定された場所にドアがないこと
←本来主人公がたどり着くべき場所ではなかった?
・連鎖的な表現が多いこと(どんどん廊下を進んでいく/主人公が「かいつぶり」と言い出したことから話題が連鎖していく/「他人の靴を磨いてやると…」という挿話)
・融通の効かなさと合言葉の無意味さが読み取れること
上記のトピックについて何か思いついたら記事にしますが、
今回は、本来の合言葉ってこれじゃないの?というお話です。
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◆本来の合言葉は「貝合わせor貝覆い」?
本作において、合言葉のヒントは以下が提示されています。
1)水に関係がある
2)手のひらに入る
3)食べることはできない
4)五文字
これらを満たす言葉として、「貝合わせor貝覆い」はいかがでしょうか?
貝合わせ(貝覆い)とは、以下のような遊びです。
貝合わせには次の二種がある[1]。
- 平安時代に行われていた物合わせの一種[1] - 貝合わせは本来、左右に別れて、貝の形・色合い・大きさ・種類の豊富さで優劣を競う貴族たちの遊びであった[1]。
- 平安時代末期から行われている貝殻を合わせる遊戯[1] - 360個のハマグリの貝殻を左貝(出貝、だしがい)と右貝(地貝、じがい)に分け、出貝に合う地貝を多く見つけ出した者を勝ちとする遊び[1]。
地貝と合致する出貝を探し出す遊戯としての貝合わせは元来貝覆いと呼ばれていたが、殻を合わせる所作から後に混同されて、同じく貝合わせと呼ばれるようになった。
これは、上述の条件をすべて満たしているように思えます。
◎ 1)水に関係がある…貝は水に関係がある
◎ 2)手のひらに入る…「貝覆いの貝は女性の掌中に握るのに適した大きさの、伊勢国二見産ハマグリを用いた」とある(同Wikipedia)
◎ 3)食べることはできない…貝殻だけを用いる遊びのため、食べることはできない
◎ 4)五文字…「かいあわせ」「かいおおい」どちらも五文字
加えて、貝合わせは上記の通り、貝殻を用いた神経衰弱とでもいうべきものです。
つまり、鍵と鍵穴のような関係性であるわけで、扉を開くための合言葉にはピッタリだと思いませんか?
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この言葉を念頭に置いていたのか、
もしくは偶然条件に当てはまる言葉があったのかは不明ですが…
いつか村上春樹先生に聞いてみたいですね。
それではまた次回の記事(12/25)でお会いしましょう。
クリスマスだけど、変わらずやってやるぜ!
今日の蛇足)貝と言えば潮干狩り!わたしはアサリには目もくれず、カニやら小魚やらと遊ぶのに夢中ですので、戦力外です。
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